タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

「南くん、おもしろいっ!」

 休み時間。
 少し離れた席から、弾んだ声が聞こえてきた。

 慎之介の席の横に立つ、クラスの女の子だ。

「え? あ、そう……?」

 元々、女の子と接するのが得意ではない彼は、反応に困っていた。

 文化祭後から、この光景をよく見る。

 うちのクラスは、ミニミュージカルをやった。
 お笑いが好きだという男の子が台本を書いてくれた、オリジナルの物語。
 そこで慎之介が演じた役が、脇役にもかかわらず人気で。
 その影響なのか、前より女の子たちから好感を持たれている気がする。

「おーいっ。南くん、困ってるじゃん!」

 冗談まじりに、助け舟を出したのは――。
 最近の席替えで彼の隣になった、若ちゃん。

「ていうか、次、英語じゃん。課題やった?」

 若ちゃんに聞かれたその子は「あ、やばっ!」と自席に戻っていった。
 慎之介は、ホッと息を吐いているようだった。

 そのあと、慎之介と若ちゃんは軽い会話を交わし、笑っていた。

(…………)

 私は、シャープペンシルの芯を、意味もなく出したり戻したりしながら、一連の流れを見ていた。