「……うん」
そう答えると、俺の前まで来た。
満足げな近藤は去り、二人になった。
もちろん、周りにはクラスメイトがいる。
なのに、ここだけ二人きりの空間になったような錯覚をおぼえる。
俺のネクタイに、その指が触れた。
「…………」
じっと、見てしまう。
さっきまでステージで笑っていた顔。
少し汗ばんだ額。
いつもより華やかなメイク。
俺の、彼女。
藤沢は、手元に視線を落としたまま「……あのさ」と囁いてきた。
「……ん?」
「そんなに見られると……緊張しちゃうん、だけど」
そう言って。
ちら、と俺を見上げてきた。
その表情を見て、一気に全身が熱くなる。
これか、と悟った。
彼女は、動揺する俺を見ると、なぜか喜ぶ。
その気持ちが、わかってしまった。
自分の行動で、好きな人が照れている。
恥ずかしそうにしている。
それが、めちゃくちゃ『刺さった』。
すぐにでも、触りたい。
彼女のヘンタイっぷりを、うつされたのかもしれない。
気づけば、口を開いていた。
「……みんなに言う? 付き合ってること」



