タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 彼女は弾かれたように「えっ!?」と顔を上げる。

「付き合ってくれるの!?」

「まあ……うん」

「ありがとう……っ! やったあ!」

 思いきり綻んだ顔を向けられた。

「……っ」

 心臓に、悪い。

 静かに狼狽えていると、彼女は「あ……ちょっとごめんね」と、スカートのポケットに手を伸ばした。

 取り出したスマートフォンが、震え続けている。
 メッセージではなく、電話らしい。
 
「隣のクラスの、立花(たちばな)あずさ。ダンス部で、仲いいんだ」

 画面を見て、教えてくれる。
 その名前は、聞いたことはあった。

「私、『南くんに告白したい』って話してたから……結局どうなったの?って、確認かも。あとで、言ってもいい?」

 照れたように、聞かれるけれど。

 待てよ、と。
 今になって焦り始める。

 クラスや部活の男どもが、俺たちが付き合ったことを知ったら。
 どういう反応をされるだろう――。

 終始いじられまくる図が思い浮かんで、身震いした。
 ちょっと耐えられそうに、ない。

「……あのさ」

「うん?」

「学校では、内緒にしても……いいかな」