タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 完成したパネルを、教室の後ろに立てかけてみた。

「おおーっ!」
「それっぽい!」

 見慣れた景色が非日常感に包まれ、歓声が上がる。

 ちょうどそのとき、部活を終えた何人かがまた、教室に入ってきた。

 その中に、若ちゃんもいた。

「あ、南くん。特装版の続き、持ってきたよ!」

 明るくて、よく通る声。
 出入り口の反対側にいた私の耳にも、はっきり届いた。

「あ、うん。ありがとう」

 慎之介は、少しだけこちらを気にしながら、差し出された漫画を受け取っている。

(……あ)

 三冊ほど重なった、見覚えのある表紙。
 彼の本棚に並べられていたシリーズだ。

(あれ、若ちゃんに借りてるやつだったんだ)

 そばにいた近藤くんが、すかさず口を挟む。

「南と若月さん、最近ほんと仲いーな」

 若ちゃんは「え?」とキョトンとしたあと、あっけらかんと笑う。

「まあ、オタク仲間ってだけだよ〜」

 楽しそうに答える、若ちゃんの隣で。
 慎之介は、困ったように苦笑いするだけ。

 否定とかは、特にしていなかった。