タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


「すぐ戻ってくるんじゃない?」

 微笑ましくて、クスッとした。

「メッセージ送ってみたりしてるんだけどさ……怪しまれてないかな」

「私には、何も言ってなかったよ」

「そっかー」

 彼が、机に突っ伏しながら「あのさ……」と口を開く。

 そして、自分を指さした。


「俺って……涌井と似てないよね?」


 眉を下げ、しゅんとしている。

「似てないね」

 雰囲気も性格も、わりと正反対だ。

「くそーっ」

(なんか、可愛いなあ)

 たまにこうして、あずさの話を聞いてあげている。
 協力を頼まれたりはしないけれど、いい人なので、応援したい気持ちも芽生えてきているのだった。

「じゃあ、やっぱ無理かなー」

 弱気なぼやき。

「どうして?」

「だって。立花さん、ああいうのがタイプなんでしょ」

(『タイプ』、ね)

「……やっぱり、タイプの人を好きになるのかなあ」

 思わず、独り言のようにこぼす。

 蓮沼くんは「うーん」と宙を見ていたけれど、「俺もよくわからん」と言った。