「なんでそうなるんだよ!」
「今は、いないんでしょ?」
「……いないけど」
「じゃあ、いいじゃん!」
「よくねーだろ!」
「お願い!」
「いやいやいや」
「好きになってもらえるように、頑張るから!」
「そういう問題!?」
ホームに、俺が乗るはずの電車の到着を知らせるアナウンスが流れるけれど。
彼女はまったく、帰る気配を見せない。
「…………」
「…………」
しばらく、互いに視線を彷徨わせながら、沈黙していた。
そもそも、彼女のことが嫌なわけじゃない。全然。
むしろ――。
それに、もし、断ったら。
彼女はもう、笑いかけてくれないかもしれない。
慎重に、口を開いた。
「……じゃあ……ハイ」
そして、そっと小箱を受け取った。



