「……でも。そのときもいっぱいキスしてくれて、仲直りしたんだー」
針に糸を通しながら、慎之介との話を続ける。
「……いっぱい?」
「うん、一時間くらい。えへへ」
そう惚気ると「一時間?」と怪訝な顔をされた。
「……ひな子たちってさ。誰かに目撃されないようにとかいって、いつも家で遊んでるけど。実は……キス以上もしてたり?」
「ううん。キスまでだよ」
それを聞いたあずさは、同情するような目で「南くんって……我慢強いんだね」と呟いた。
そして、縫い終えたネクタイを机に置き、言う。
「そんなにラブラブならさ。そろそろ『好き』って聞きたい?」
その言葉に、次の布を取ろうとしていた手が止まる。
「それは……」
数秒、自分の手を見つめていたあと、答えた。
「どっちでもいいんだ。ちょっとは好きでいてくれてると、思ってるから」
あずさは、私の顔をじっと見ていた。
「ふーん……?」



