タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 その日の夕方、藤沢が部屋に来た。

「慎〜」

 くっついてくるのは、元からだけれど。

 この前、彼女が涙を見せた日から。
 二人きりになると、一秒も離れずべったりだ。

「慎が北海道行ってるあいだ、さみしかったよ〜」

「……うん」

 表面的には、元気になったように見えるけれど。
 不安を埋めたくて触れてきているようにも、感じる。

 考えすぎだろうか。

 目が合うと、彼女はいつものように、にこっと微笑んでみせた。

 昼間のことを思い出し、口を開く。

「……ていうか、今日のあれ。教室で、足くっつけすぎだろ」

「えー?」

「際どい話もするし……」

「『やさしいよね』の、どこが際どいの」

 クスクスと笑いながら、今日もあの漫画を読み進めている。
 今、十四巻。キヨシの登場まで、もうすぐだ。