タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


 お盆になり、俺は北海道にある祖父母の家にやってきた。

 親戚が次々に集まってきて、賑わいが増していく。

 八畳ほどの仏間に寝そべり、木の天井を見上げ、ぼんやりしていると。
 ふと、先日初めてお邪魔した、藤沢の家が頭に浮かんだ。

 広くて、綺麗で、静かで。
 彼女はそこに、ひとりでいた。

 冷凍ごはんを温める手つきも、妙に手慣れていて。

『家のことで、色々あって』
『親が、ちょっと仲悪くて』

 そう、言っていたけれど。

 どんな事情が、あるのだろう。

 踏み込んで聞いていいものなのか、悩ましいけれど。
 もし辛いことがあるなら、少しでも力になれたら、なんて思ってしまう。

 図々しいだろうか。


 そんなことを考えていたら、不意に思い出された。

 あのとき。
 元気のない彼女に求められるまま、ベッドの上で、ずっとキスをしていたことが――。