「俺が勝手に変な想像してただけで……藤沢の気持ちはちゃんとわかってて……」
彼の話が、頭に入ってこなくなった。
今朝教室で騒いでいた、クラスメイトの言葉が蘇る。
――『さっきさ。南と若月さん、二人で学校来てたんだよ! 俺、邪魔しちゃったかな!?』
「それで……」
続く言葉を遮るように、口を開いた。
「浮気、してる?」
冗談めかしたつもりが、全然そうはならなかった。
「…………は?」
素っ頓狂な声で、聞き返された。
「二股はしないで。好きな子できたら、別れてよね?」
「ちょ、ちょっと待って。何の話……」
混乱している彼に腕を引かれ、振り向かされる。
目が合うと、彼は息を呑んだ。
私が――泣いていたから。



