タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

「私の部屋、見るっ?」

 食べ終わると、明るく誘った。

「あ……うん」

 二階に上がり、ドアを開け、電気をつける。

 いつもの空間。
 柔らかい色で揃えた部屋だ。

「へー……」

 ぐるりと見渡した慎之介は、そう呟きながら。
 いつも使っているリュックを、遠慮がちに入り口へ置いた。

「中学の卒アルとか、見る?」

「あ……いや」

「そうだっ。お茶持ってくるね?」

 部屋を出ようとしたら「……あのさ!」と止められた。


(あ……話される)


 なんだか聞くのがこわくて、引き延ばしていたけれど。
 背後から、何かを話し出そうとする気配がした。

「昨日のこと……本当にごめん」

「あ……うん。大丈夫だよっ」

 振り返らないまま、答えた。

 俯いた、視線の先。
 彼のリュックのポケットの中に、キーホルダーのようなものが見えた。

(これ……)

 それは――若ちゃんのバッグにも付いていた『キヨシ』のキーホルダーだった。