タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 おかずを持って、小走りで自宅に向かうと。

 門の前で――慎之介が待っていた。

「……ごめんっ! お待たせ」

「いや……」

 彼は、少し気まずそうに視線を逸らす。

「上がって?」

 門を押し開けながら、促した。

「……お邪魔します」


 リビングに案内する。
 家に入ってもらうのは初めてだ。

「それ、なに?」

 手元のタッパーを見て、聞かれた。

「おばあちゃんからもらってきた、おかず。慎も食べる?」

「あ、大丈夫。家で適当に食べてきたから」

「そう? じゃあ、食べてもいい?」

「うん。気にせず」

 冷凍ごはんを取り出し、レンジで温めながら、おかずをお皿に移す。

「私、おばあちゃんっ子なんだ。すぐ近所にいるから、小さい頃から懐いてて」

「へえ」

「兄弟もいないし、ずっと遊んでもらってて」

「うん」

「着付師やってたから、お祭りのときも着付けてもらったんだよー」

 沈黙が、嫌で。
 そんな何気ない話を、ずっと続けながら、食べた。

 慎之介のほうを、あまり見られないまま。