タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 着替えを終え、スマホを確認すると。
 慎之介から、メッセージが届いていた。

『会って話したいから、今日、家行ってもいい?』

「…………」

 画面を見つめたまま、指が止まる。

 昨日はあのまま、逃げるように帰ってしまった。
 そのあと、慎之介からの連絡もなかった。

(何、話すんだろう……)

 少し、こわくなる。

 迷いながらも、いつもの調子を装って文字を打つ。

『いいよ! 今日、親いないから、公園とかじゃなくて家の中で話せるし』

 父はいつも通り、仕事で帰りは遅い。
 母は今朝、ダイニングテーブルに『今日は実家に泊まります』という置き手紙を残していた。
 たぶん、父との喧嘩のせいだ。
 昨日の夜中、下のリビングから言い争う声が聞こえて、目が覚めた。


「ひな子ー。これからフードコート行くけど、ひな子も行くー?」

 更衣室を出ようとしていた同期から、声をかけられる。

「あ、ごめーん。予定、あって」

「そっかー。じゃあ、駅まで一緒に行こっ」

「うんっ」

 スクールバッグを肩にかけ、後を追った。