「これ、いる? 先週ポップアップストア行ったんだけど、同じの五つも当てちゃって……」
「え……いいの!?」
それはちょうど、俺のお気に入りのカットだった。
強豪校との試合で、決まったと思われた一打を拾い上げる場面。
低く構えた腕に、ボールが吸い込まれていくところだ。
「うん、どうぞ。自分のはあるし」
そう言って、キーホルダーを付けた鞄を揺らす。
「キヨシってさ、本当に不器用だよね。せっかく好きな子に『好き』って言ってもらったのに、『バレー頑張りたいから』とか言って応えないでさ……」
「…………」
最新話のことだ。
キヨシの話なのに、今の俺にグサグサと刺さる。
「でも、そんな不器用なところが、愛すべきポイントなんだけどー」
そのあと、ついアニメ化の話に夢中になっていたら。
(……って、おい。二人でいるところを藤沢に見られでもしたら、さすがにまずすぎるだろ……)
そう気づき、冷や汗が噴き出たものの。
学校の最寄駅でクラスメイトの男子と会い、そこから三人で学校に向かったため、ひとまず安堵した。



