タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

 翌朝。
 クラスの文化祭準備に向かうため、乗り換えのホームでぼうっとしていた。

 イヤホンから流れる、好きなバンドのラブソングが沁みる。

(浸ってないで、さっさと謝れって……)

 メッセージは、まだ送れていない。
 直接、話したい。

 今日の準備には、藤沢も来るはずだ。

(終わったら話したい、とだけ伝えるか……)

 そんなことを考えていたら、ワイシャツの肩をポン、と叩かれた。

「南くん、おはよー」

 若月さんだった。

「あ……おはよ」

 イヤホンを外しながら応えると。
 彼女は、そこから漏れ出る音に「あ」と目を丸くする。

「そのバンド、知ってる!」

「え?」

「お兄ちゃんが、めっちゃ好きで」

「おお。俺も兄貴の影響」

「私たち、趣味似てるね」

 さっぱり笑った若月さんは「そうだっ」と鞄をガサゴソやりはじめた。

 取り出したのは——あのバレー漫画の、『キヨシ』のキーホルダー。