タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。


(え……)

 私を見下ろす、慎之介は。
 髪が濡れていて、大人っぽい。

 知らないひと、みたい。

 ドキドキする。

 私は、彼の困り顔や、恥ずかしがる姿にきゅんきゅんしてしまう自分を『Sなのかもしれない』と思っていた。

 でも、今、気づいた。

 慎之介のことが、あまりにも大好きなだけだったんだ。

 じっと見つめていたら、その口がゆっくりと開かれる。

「……いつもこんなふうにくっついてきて、俺がこれ以上を求めてきたらどうすんの?」

 その瞳は、男の子のもので。
 どんどん、鼓動が速まっていく。

「……いいよ」

「…………」

「だってそうしたら……好きになってくれるかもしれないし」

 流されてほしい。
 私と同じくらい、大好きになってほしい。

 でも。

 私の言葉を聞いた慎之介は息を吐き、身体を起こした。