タイプじゃないと言われたので、好きな子ができるまで恋人にしてもらいました。

 ◇

「上で待ってなよ〜」

 その言葉に甘え、慎之介の部屋に入らせてもらった。

 いつものオレンジの香りに、ほっとする。

 玄関のほうで音がした。
 お兄さんは、本当に出かけてしまったらしい。

 家にお邪魔するときは、いつも誰かしらいたから。
 二人きりということに、少し緊張してしまう。

 ――『優しくしてあげてね?』

 さらに、さっきのお兄さんの言葉が蘇り、ドキッとした。


 やがて、階段をゆっくり上ってくる足音が聞こえて。

 部屋のドアが、開いた。

「……うわっ!? えっ!?」

 慎之介が、目を丸くする。

「いつの間に来てたの!?」

 気づいていなかったらしい。

 髪はまだ濡れていて、肩にバスタオルを掛けている。

 六日ぶりに会う、恋人。
 私は、勢いよく抱きついた。