71歳の恋愛小説家

今、加奈子は東京の出版社の会議室にいる。

小説のドラマ化についてのTV局側のプロデューサーと、出版社での打ち合わせである。

ドラマにすることに関しての契約と契約料や契約条件に付いて話し合うのだ。

加奈子は別に何も希望はない何なら契約料もいらない位だ。

自分の小説がドラマになるなんて、夢を見ているみたいで話を聞いているだけで精いっぱいの状態だった。

プロデユ―サーは、加奈子に脚本を書いてみてはどうかと言っているようだが、脚本なんて書いたことが無い。

なのに、出版社の担当はすっかり乗り気になっている。

加奈子は“まてまて、脚本なんて書けるわけない。お~い正気に戻ってくれ”と祈るばかりだ。

加奈子の願い虚しくなんと一話の脚本をとにかく書いてみて、判断してもらうという事になってしまっている。

この会議の前に、担当の人は私がすべて良いように取り計らうので、加奈子は口を出さないようにと言われていた。

だから、黙っていたのだが、打合せの後担当者に脚本なんて書いた事ないのにどうするんですかと詰め寄ると

「えっ、加奈子さん何も言わなかったから書けると思ってた」と、宣った。

「だって何も言わないで僕に任せておいて下さいって言ってたから、何も言わなかったのよ」

そう言うと、頭を抱えて

「とにかく二カ月あるので、脚本の描き方の本を貸しますので、それで勉強して頑張ってみてください。ダメならダメでいいですからとにかく一話だけやってみて下さい」

何とも、いい加減な担当者で加奈子もげんなりしたが、やってみるしかないと腹をくくって名古屋に帰ってきた。

次の日から今度は脚本という無知の事に対する勉強が始まった。