71歳の恋愛小説家

綾は加奈子が投稿しているサイトを知っていてアプリもとって時々読んでいるようだ。

名前は?と言われてペンネームを言うと早速検索して

「ええ~っ、ばあば!十以上も、投稿してるじゃん。すごい。どれ入賞したの?」

教えるとさっそく読んでみると言ってくれた。

「でも、まだ投稿し出して一年位でしょう?なのにこの投稿数すごくない?」

「う~ん、そこら辺はよく分からないけど、プロットはいっぱいあるんだよね。だから、書く物に困らないしこの頃はビルの建設も忙しかったけれど、時間はたっぷりあるからね。なんか書き出すと止まらないんだよね」

そう言うと二人とも呆れていた。

全員集合して出版記念のお祝いしようと祐子が言い出して、止める間もなく長男と次男に電話していた。

ビルの建設が始まって後は建築会社の人に任せる事なので、裕子も加奈子も少し一息付けたのは、綾の卒業式が終わり大学に通い始めた五月のゴールデンウイークが終わった頃だった。

そこで祐子が全員集合をかけて食事会となった。

現代物も出版されて少し経った頃だった。

数冊ずつ持って来てはいたが、男どもには興味はないだろうが、それぞれの妻と長男の中学生の娘は本をもらってくれた。

そしてその席で皆に加奈子は話しだした。

「皆にとってお母さんは頑固でこうと決めたら動かないし、何でも一人で決めるしあなた達にとっては、優しい母親ではなかったと思うの。それはね、多分私の生い立ちに関係してると思うのよ。言い訳ではないんだけど…」

そう言って、加奈子は掻い摘んで自分の人生の三分の一を話して聞かせた。

だから、子供達には大学までは行かせたかったしできるだけお金の苦労はさせたくないと頑張ってきたこと、孫にも援助を惜しまなかった事を伝えると、子供達は初めて聞く話だったので涙ぐんでいた。

「だから、母さんは強いんだね」と次男

「そうね。今回の事では本当にお母さんがいなかったらどうしていいかわからなかった」

そう言った長女は、感謝してもしきれないと言ってくれた。