71歳の恋愛小説家

そして次の日弁護士に調停を依頼した。

涼介がごねるようなら、傷害で訴えることになると弁護士が言っていた。

後は先生に任せたが、涼介は案外早く家を出て行った。

後は慰謝料や綾の養育費の話だけだが、裕子は養育費はいらないから会わせたくないと弁護士の先生にそのように話を通してもらった。

綾も十八歳で大学に行くなら卒業までは養育費を請求できるはずだが、養育費を受け取れば子供に会わせろと言われれば拒否はできないだろう。

慰謝料として家の半分の名義も祐子に変える事と今ある貯金のほとんどを祐子に支払う事で、交渉してもらう事にした。

通帳のほとんどは、祐子が管理しているしそれを持って家を出ているので、そこから涼介がお金を勝手に引き出す事もできない。

裕子に関しては接近禁止令を出してもらえるようだが、子供達には実害がないのでそれは適用されないと言われた。

三人は一週間で家に帰る事が出来て、加奈子も一安心していた。

これから先離婚届に判を押させるまでは、弁護士にすべて任せる事になる。

祐子と加奈子は駐車場にどんな建物を建てるか等に思考を移していった。

後ろ向きな事は考える必要はない。

これから先の事を考えていかなければならない。

資金計画や収支計画もいい感じだったので、木造の四階建ての商業ビルを建てることにしたのだ。

土地の半分は加奈子の名義なので知らん顔もできない。

建物も二人の名義になるのだ。

加奈子は小説を書いたり、ビルの建設の相談に乗ったり結構忙しい日々を過ごすことになった。

まず駐車場の利用者に、管理会社から三カ月後の退去を通知してもらった。

それから、ビルのデザインや各階二部屋づつ合計八部屋の商業ビルとした。

トイレや給湯室は各階共通にホールに作ることになった。

四階建てだが、エレベーターも必要だ。

外観は少しおしゃれなパリっぽい雰囲気にしたいと祐子は言ったが、それでかなり建築費が嵩むようなら考えるとも言っていた。

結構積極的に外観デザインにも要望を出している裕子を見て、涼介のことを引きずっていない事に安堵した。

外観を全部おしゃれにする必要はないと思うと加奈子はアドバイスした。

一階には二店舗食べ物屋に貸すことにして、そのハサードをパリっぽくすればビル全体がおしゃれに見えると言ったら、建築会社の担当もそのほうが外観にかける費用をかなり抑えられると賛成してくれた。

四階建てなので、三~四階は道路からも見えないだろう。一階だけおしゃれな雰囲気にしておけば十分だ。

白と黒のストライプのオーニングを前面の窓それぞれ付けて、窓回りにレンガで飾りをつけるといいのではと話がトントン拍子に進んだ。