むすび洋菓子店の扉が開いた。
カラン――。
「こんにちはー!」
「いらっしゃいませ……って、瑠璃ちゃん!」
結月が顔を上げる。
そこには瑠璃と、ルーム長だった佐藤くんが立っていた。
「結月、いのりちゃんに会いに来たよ!」
「私も!」
瑠璃が嬉しそうに店内を見渡す。
「それとね、佐藤くんと一緒に結月のケーキ食べたくて来たんよ」
「そうなんだ」
結月は笑った。
腕の中には、いのりがいる。
「いのりちゃん、見せて!」
「はい。どうぞ」
結月が少し近づいて、二人にいのりの顔を見せる。
「わあ……!」
「可愛い!」
瑠璃は嬉しそうにいのりを覗き込んだ。
「いのりちゃん、初めまして!」
佐藤も優しい顔で笑う。
「本当に小さいなぁ」
「まだ生まれたばっかりだからね」
「結月、お母さんの顔になったね」
「そうかな?」
結月が照れたように笑った。
そのとき、瑠璃が店の奥を見る。
「あれ?」
少し離れたところに、秀と由美がいた。
「あっ、秀も居たんだね」
「うん」
秀が振り返る。
「さっき来たんだ」
瑠璃は秀の隣にいる女性を見る。
「そちらの女性は?」
秀は少し間を置いて答えた。
「彼女」
「彼女なんだ」
瑠璃は少し驚いた顔をした。
秀は、結婚しない主義だった。
昔から、「結婚はしない」と言っていた。
けれど――
彼女はいる。
そのことを聞いて、瑠璃は小さく頷いた。
「そうなんだね」
結月は、その会話を聞きながら、いのりを抱いていた。
そして、明るい声で言った。
「二人とも、早く注文してよ」
「え?」
瑠璃が笑う。
「もう、結月らしい!」
「だって、せっかく来たんだから。何食べる?」
「私はチーズケーキ!」
「私は……レアチーズケーキかな」
佐藤がショーケースを覗き込む。
「じゃあ、俺もチーズケーキ」
「はいはい」
結月は笑いながら注文を受ける。
腕の中には、いのり。
母になった結月が、いつものように店に立っている。
それを見ながら、瑠璃は嬉しそうに笑った。
「結月、なんか幸せそう」
「うん。幸せだよ」
結月は、いのりを優しく抱きしめる。
「この子がいるからね」
秀は、その言葉を黙って聞いていた。
そして、結月の腕の中で眠るいのりを見つめる。
昔、愛した人。
今は母になった結月。
その姿を見ながら、秀の胸には、言葉にできない感情が静かに残っていた。
カラン――。
「こんにちはー!」
「いらっしゃいませ……って、瑠璃ちゃん!」
結月が顔を上げる。
そこには瑠璃と、ルーム長だった佐藤くんが立っていた。
「結月、いのりちゃんに会いに来たよ!」
「私も!」
瑠璃が嬉しそうに店内を見渡す。
「それとね、佐藤くんと一緒に結月のケーキ食べたくて来たんよ」
「そうなんだ」
結月は笑った。
腕の中には、いのりがいる。
「いのりちゃん、見せて!」
「はい。どうぞ」
結月が少し近づいて、二人にいのりの顔を見せる。
「わあ……!」
「可愛い!」
瑠璃は嬉しそうにいのりを覗き込んだ。
「いのりちゃん、初めまして!」
佐藤も優しい顔で笑う。
「本当に小さいなぁ」
「まだ生まれたばっかりだからね」
「結月、お母さんの顔になったね」
「そうかな?」
結月が照れたように笑った。
そのとき、瑠璃が店の奥を見る。
「あれ?」
少し離れたところに、秀と由美がいた。
「あっ、秀も居たんだね」
「うん」
秀が振り返る。
「さっき来たんだ」
瑠璃は秀の隣にいる女性を見る。
「そちらの女性は?」
秀は少し間を置いて答えた。
「彼女」
「彼女なんだ」
瑠璃は少し驚いた顔をした。
秀は、結婚しない主義だった。
昔から、「結婚はしない」と言っていた。
けれど――
彼女はいる。
そのことを聞いて、瑠璃は小さく頷いた。
「そうなんだね」
結月は、その会話を聞きながら、いのりを抱いていた。
そして、明るい声で言った。
「二人とも、早く注文してよ」
「え?」
瑠璃が笑う。
「もう、結月らしい!」
「だって、せっかく来たんだから。何食べる?」
「私はチーズケーキ!」
「私は……レアチーズケーキかな」
佐藤がショーケースを覗き込む。
「じゃあ、俺もチーズケーキ」
「はいはい」
結月は笑いながら注文を受ける。
腕の中には、いのり。
母になった結月が、いつものように店に立っている。
それを見ながら、瑠璃は嬉しそうに笑った。
「結月、なんか幸せそう」
「うん。幸せだよ」
結月は、いのりを優しく抱きしめる。
「この子がいるからね」
秀は、その言葉を黙って聞いていた。
そして、結月の腕の中で眠るいのりを見つめる。
昔、愛した人。
今は母になった結月。
その姿を見ながら、秀の胸には、言葉にできない感情が静かに残っていた。

