夕方。
むすび洋菓子店の忙しさが少し落ち着いた頃だった。
厨房で片付けをしていた結月のスマートフォンが鳴った。
「もしもし?」
『結月? 瑠璃だよー!』
「瑠璃ちゃん!」
久しぶりに聞く親友の声に、結月の顔が自然とほころぶ。
『体調、大丈夫?』
「うん。大丈夫だよ」
『もう予定日まで一週間なんでしょ?』
「そうなの。あっという間だった」
『赤ちゃん、楽しみだねぇ』
「うん。私もるいさんも、毎日楽しみにしてる」
瑠璃の声が、少し弾んだ。
『そうだ! 性別どうだったの?』
「性別?」
『うん! 出産祝い贈りたいから教えて〜』
結月は、ふふっと笑った。
「女の子だよ」
『えー! 女の子! 可愛いだろうね!』
「うん。るいさんも、もう名前を考えてるよ」
『なんて名前にするの?』
「それは……生まれてからのお楽しみ」
『もう! 結月ったら!』
二人の笑い声が、静かな店内に響いた。
そのとき、るいが厨房から顔を出した。
「瑠璃さん?」
「うん」
結月は電話をしながら、お腹にそっと手を当てる。
「瑠璃ちゃんが、出産祝い贈りたいって」
『るいさんにもよろしくね! 無理しないようにって伝えて!』
「分かった」
電話を切る。
るいが近づいてきた。
「何だって?」
「女の子って教えたよ」
「そっか」
るいは嬉しそうに結月のお腹を見る。
「もうすぐ、この中から小さな女の子が出てくるんだね」
「うん」
結月は優しくお腹を撫でた。
「どんな子かな」
「きっと可愛いよ」
「親ばかだね」
「まだ生まれてもいないのにね」
二人は顔を見合わせて笑った。
その瞬間――
ぽこっ。
「……あ」
結月のお腹が小さく動いた。
「今、動いた?」
「うん」
るいがそっと手を添える。
「聞こえたかな。瑠璃さんが、出産祝い贈ってくれるって」
「ふふっ。楽しみにしてるかも」
予定日まで、あと一週間。
むすび洋菓子店には今日も甘い香りが漂っていた。
そして二人の心には、まだ見ぬ小さな女の子への期待が、日に日に大きくなっていた。
むすび洋菓子店の忙しさが少し落ち着いた頃だった。
厨房で片付けをしていた結月のスマートフォンが鳴った。
「もしもし?」
『結月? 瑠璃だよー!』
「瑠璃ちゃん!」
久しぶりに聞く親友の声に、結月の顔が自然とほころぶ。
『体調、大丈夫?』
「うん。大丈夫だよ」
『もう予定日まで一週間なんでしょ?』
「そうなの。あっという間だった」
『赤ちゃん、楽しみだねぇ』
「うん。私もるいさんも、毎日楽しみにしてる」
瑠璃の声が、少し弾んだ。
『そうだ! 性別どうだったの?』
「性別?」
『うん! 出産祝い贈りたいから教えて〜』
結月は、ふふっと笑った。
「女の子だよ」
『えー! 女の子! 可愛いだろうね!』
「うん。るいさんも、もう名前を考えてるよ」
『なんて名前にするの?』
「それは……生まれてからのお楽しみ」
『もう! 結月ったら!』
二人の笑い声が、静かな店内に響いた。
そのとき、るいが厨房から顔を出した。
「瑠璃さん?」
「うん」
結月は電話をしながら、お腹にそっと手を当てる。
「瑠璃ちゃんが、出産祝い贈りたいって」
『るいさんにもよろしくね! 無理しないようにって伝えて!』
「分かった」
電話を切る。
るいが近づいてきた。
「何だって?」
「女の子って教えたよ」
「そっか」
るいは嬉しそうに結月のお腹を見る。
「もうすぐ、この中から小さな女の子が出てくるんだね」
「うん」
結月は優しくお腹を撫でた。
「どんな子かな」
「きっと可愛いよ」
「親ばかだね」
「まだ生まれてもいないのにね」
二人は顔を見合わせて笑った。
その瞬間――
ぽこっ。
「……あ」
結月のお腹が小さく動いた。
「今、動いた?」
「うん」
るいがそっと手を添える。
「聞こえたかな。瑠璃さんが、出産祝い贈ってくれるって」
「ふふっ。楽しみにしてるかも」
予定日まで、あと一週間。
むすび洋菓子店には今日も甘い香りが漂っていた。
そして二人の心には、まだ見ぬ小さな女の子への期待が、日に日に大きくなっていた。

