そして後ろを振り向き、魔法使いさんにお礼を伝える。
「魔法使いさんっ!!ありがとう!!すっごく楽しかった!!」
元気な私に魔法使いさんは「そーかよ」と、微かに笑い返してくれた。
やっぱり魔法使いさんは、少しだけ笑うようになったせいか、雰囲気が柔らかくなった気がする。
まぁ、私の勘違いかもしれないんだけどね?
私は再び魔法使いさんに駆け寄り笑顔を向ける。
「魔法使いさんっ!また遊んでねっ!」
「遊びじゃねーんだけど……つーか俺、魔法使いさんじゃねぇーわ。クロムって名前があんだよ、バカな頭でしっかり覚えとけよ?リオ」
そう言って、失礼な言葉と共に私の頭をぐしゃっと撫でてきた。
一瞬だけ、カツラが危ない!!と思ったけれど、それよりも名前を教えてもらえて嬉しい気持ちが勝ってしまった私は大喜び。
これで……完璧な親友だっ!!!
「やっと親友が名前を教えてくれたぁあ!やったぁあぁ〜!!!……って、なんで僕の名前知ってるの……?」
ぐしゃぐしゃになったカツラの髪の毛を抑えながら、疑問に思ったことを口にするけれど
「ふっ、さぁーな」
と、いつも通り適当な返事をする彼は、少しだけ笑うようになったと言っても性格までは変わっていなくて、相変わらず素っ気ない所がクロムっぽい。
すると、彼は最後に意地悪に笑うと私に背中を向けて、片手をヒラリと上げて一言。
「あー、あと友達は認めてやっけど、親友じゃねぇよ?」
「えぇ?!?そんな事ないでしょ!!だって僕たち……って、あ、あれ?!」
慌てて駆け寄ろうとしたけれど、瞬きをした瞬間に彼はスっと消えてしまった。慌てて部屋中を見渡したけれど、もう何処にもいない。
彼が居なくなった部屋で呆然と立ち尽くしていると、遅れるように「またなっ」と、声が聞こえて来たような気がする。
その声にハッとした私は、クロムに届くように部屋で叫ぶ。
「もーうっ!またな、じゃないよっ!クロムがなんて言おうともう親友なんだからっ!転移魔法で逃げるなんて、ずるすぎだよぉおぉ!!」



