一緒にいたくて男装執事になったのに~嫉妬と溺愛とまりません~【隣国編】


塔の端まで歩き続ける途中で、その人影に近寄っていくと景色よりもその人の姿に驚いてしまった。


その人は、オレンジ色の光を全身に浴びて、気だるげに塔の柱に寄り掛かかっていた。

それは、とても見覚えのある姿だった。


風に揺れるアッシュグレーの髪の毛に、街を見下ろす輝くレッドアイ。


……魔法使いさん……?!
なんでこんな所に……?!


空がオレンジ色から薄暗い紫色に変化していく中、私はビックリしつつも、また出会えたことが嬉しくて駆け寄ろうとした。


だけどその時……

相変わらず面倒くさそうで気だるげにする魔法使いさんが、ゆったりとした動きで動き出す。

そして、ポケットに突っ込んでいた片手を取り出すと、ルビーの指輪が光るその手のひらを、ゆっくりと街に向ける。


一体、何をしているの?


なぜだか分からないけれど、声をかけてはいけないようなそんな気がして、黙ってその動きを見守る。