私はお風呂場からバタバタと出ると、ギル様の元へ向かって大興奮で声をかけた。
「ギル様……!!メルティアーナはすごいですね!」
書類から顔を上げたギル様が、ソファにドカッと深く座り直して口を開く。
「まぁそうなんだが……どうだろうな……。魔法石ばかりに頼っているってことは、技術が発展していないとも言えるよな」
「……??」
頭を傾げる私に、ギル様はどこか遠くを見つめて口角を上げた。
「それに魔法使いはかなりレア……このままだと危ないだろうな。まぁ、これが今回の交渉の要にもなるだろう。……それよりもリオ、お茶はどうした?」
難しい話はよく分からないけれど、私はギル様の一言にハッとする。
「わ、忘れてたっ!!」
慌ててポットに向かうと、中の水はすっかり蒸発して、綺麗さっぱり消滅していた……。
「……えへへ……失敗失敗」
「くくっ……仕方がない、俺が淹れてやる」
ギル様は、やれやれとソファから立ち上がると、失敗してへこむ私を見て「お前らしいな」と、全然嬉しくないことを言って、面白そうに笑うのだった。



