イッツ・ア・マジックショータイム!~変人マジシャンの華麗なる謎解き~

僕は一度だけ息を吸って、黒板の前へ歩き出した。

「佐藤直樹です。

好きなことはゲームで、得意な教科は国語です。

これから一年間、よろしくお願いします」

そんな当たり障りもくそもない自己紹介をして、頭を下げる。

「よろしくお願いします」

に対して返ってきたのは、まばらな拍手。

特別歓迎されているわけでもないし、かといって嫌な顔をされているわけでもない。

まあ、普通こんなもんだろう。

先生に案内され、教室の後ろから二番目の席へ向かう。

「ここが佐藤の席な」

「はい」

椅子を引いて腰を下ろした、そのときだった。

隣の席の女の子が、こちらを向いた。

眠そうな目に長い髪がかかっていて邪魔そうだ。

彼女は不意に消しゴムを手の中に握り込むと、

そのまま両手をグーにして僕の前へ突き出した。

「どーっちだ」

「えっ?」

「どーっちだ!」