イッツ・ア・マジックショータイム!~変人マジシャンの華麗なる謎解き~

先生が戻ってきて、文化祭の出し物決めが始まった。

黒板にはいくつかの候補が書かれていき、先生がそれぞれの案について説明している。

けれど、教室のあちこちから聞こえてくるのは、候補についての話ではなかった。

「やっぱりトロフィー、見つかってないらしいよ」

「誰が盗んだんだろ」

「先生たち、昨日からずっと探してるって」

「文化祭、大丈夫なのかな」

みんな気になることは同じらしい。

僕もさっき、神宮寺さんに言われたことを思い出していた。

――トロフィー泥棒、私たちで捕まえようよ。

本気なのだろうか。

少なくとも、僕はまだ半信半疑だ。

とりあえず本人に聞いてみよう。

そう思って、椅子ごと隣へ向き直る。

「神宮寺さ――」

呼びかけようとして固まった。

「えぇ…………」

寝てる。

普通に寝てる。

机に突っ伏して、さっきまでの臨時集会なんてなかったかのように、すやすやと眠っている。

「……」

いや、ついさっき僕に話しかけてきたよね。

「トロフィー泥棒、私たちで捕まえようよ」って。

さっきの心意気はどこに行ったの...

「寝るの早くない.....?」

小声で呟いてみても、当然返事はない。

文化祭の出し物を決める教室の片隅で、神宮寺さんだけは完全に自分の世界にいた。

僕はしばらく寝顔を眺めたあと、静かに前を向いた。

……この人の助手、全然普通に嫌だ...。

助手歴3分。

先が思いやられることばかりだ。