海から届いたお守り

凪沙は、いつしか小学生だった頃の交流会を、少しずつ遠い記憶にしていった。

野津原で出会った男の子のことも。

一緒に話したことも。

自分がシーグラスを渡したことも。

毎日が変わっていく中で、記憶の奥へしまわれていった。

けれど、樹は忘れなかった。

海の女の子。

神志那凪沙。

海を見たことのない自分に、海の宝物をくれた女の子。

そして、いつか樹は思うようになっていた。

あの日からずっと。

自分は、あの子のことが好きだったのかもしれない、と。

まだ恋という言葉を知らなかった頃から。

凪沙が笑っている姿も。

一生懸命に何かを話している姿も。

そして、泣いている姿も。

樹には、全部が忘れられなかった。

この子、すごく頑張ってるんだな。

そう思ったあの日から。