凪沙が病院で双極性障害と診断され、ADHDの特徴もあると分かってから、少し時間が経った。
樹と凪沙は、これからのことを二人で何度も話し合った。
凪沙が無理をしすぎないこと。
病院にもきちんと通うこと。
そして、これから先も二人で一緒に生きていくこと。
そのことを、家族にもきちんと伝えようと決めた。
その日の夕方。
二人は、おじいちゃんの家に集まった。
居間には、おじいちゃん、竜樹、碧がいた。
「今日は、ちょっと話したいことがあるんよ」
樹が少し緊張した様子で言った。
「なんじゃ? 改まって」
おじいちゃんが二人を見る。
凪沙も隣で緊張したように手を握っていた。
樹が凪沙を見る。
凪沙が小さく頷く。
「俺たち……結婚しようと思っちょる」
部屋が一瞬、静かになった。
「……結婚?」
碧が驚いた顔をする。
「うん」
樹は頷いた。
「高校の頃からずっと凪沙のことが好きで、大事にしたいと思っちょった。これからも凪沙と一緒にいたい」
凪沙も頷いた。
「私も、樹と一緒にいたい」
竜樹は二人の顔をじっと見ていた。
そして、ゆっくり口を開いた。
「そうか……」
凪沙が竜樹を見る。
「お父さん……」
「二人でちゃんと考えて決めたんやな?」
「うん」
「そうか」
竜樹は少し笑った。
「なら、俺は応援するよ」
「ありがとう、お父さん」
凪沙が嬉しそうに笑う。
樹も竜樹を見る。
「ありがとうございます、竜樹さん」
「おう」
けれど、樹にはもう一つ伝えなければならないことがあった。
「それと……もう一つ、話したいことがあります」
竜樹さんが樹を見る。
「なんや?」
凪沙が自分の口から話した。
「私、病院で診てもらって……双極性障害って診断されたんよ」
碧の表情が変わる。
凪沙は続けた。
「それと、ADHDの特徴もあるって言われた」
これまで、気分が落ち込んで何もできなくなるような日が続いたこと。
反対に、気持ちが高ぶって動きすぎてしまうことがあったこと。
介護の仕事を頑張りすぎて、体調を崩してしまったこと。
そして、病院を何カ所か受診して、三カ所目でようやく診断につながったこと。
「自分でも、まだ全部は分かってないんよ……」
凪沙は俯いた。
「でも、これからちゃんと病院に通って、自分の体調と向き合っていこうと思ってる」
しばらく、誰も何も言わなかった。
やがて、おじいちゃんがゆっくり口を開いた。
「凪沙」
「うん」
「病気になったからって、お前が凪沙じゃなくなるわけじゃないぞ」
凪沙の目に涙が浮かぶ。
「……うん」
「無理せんでいい。困ったときは、ちゃんと周りを頼ればいいんじゃ」
「ありがとう、おじいちゃん」
碧も優しく頷いた。
「凪沙、一人で抱え込まんでいいけんね」
「うん」
そして碧は樹を見る。
「樹も、全部自分一人で背負おうとせんでいいよ」
「はい」
「二人で支え合えばいいんやけん」
「うん」
竜樹も静かに二人を見ていた。
「樹」
「はい、竜樹さん」
「凪沙を大事にしたいっていう気持ちは、前から聞いちょったな」
「はい」
「結婚するなら、これから楽しいことだけじゃなくて、きついこともあるやろう」
「分かってます」
「なら、二人でちゃんと話し合っていけばいい」
「はい」
竜樹は凪沙にも目を向ける。
「凪沙も、一人で抱え込むなよ」
「うん、お父さん」
竜樹は少し笑った。
「困ったときは、俺にも言え」
「……うん」
凪沙の目から涙がこぼれた。
樹がそっと凪沙の手を握る。
凪沙も、その手を握り返した。
おじいちゃんが二人を見ながら、ふっと笑う。
「まあ、二人が一緒になりたいっちゅうなら、じいちゃんは応援するぞ」
「ありがとう、おじいちゃん」
碧も笑った。
「じゃあ、これから結婚のことも少しずつ考えていかんとな」
「うん」
樹も頷く。
「俺、凪沙が安心して暮らせるように頑張ります」
竜樹が樹を見る。
「頑張るのはええけど、無理しすぎるなよ」
「はい、竜樹さん」
凪沙は二人の会話を聞きながら、少しだけ笑った。
病気が分かったこと。
結婚を決めたこと。
どちらも、二人にとって大きな出来事だった。
それでも、ここにいる人たちは変わらず二人の味方だった。
これからは、結婚の準備をしながら、凪沙が安心して生活できるように、みんなで支えていく。
二人の新しい人生が、ゆっくりと始まろうとしていた。
樹と凪沙は、これからのことを二人で何度も話し合った。
凪沙が無理をしすぎないこと。
病院にもきちんと通うこと。
そして、これから先も二人で一緒に生きていくこと。
そのことを、家族にもきちんと伝えようと決めた。
その日の夕方。
二人は、おじいちゃんの家に集まった。
居間には、おじいちゃん、竜樹、碧がいた。
「今日は、ちょっと話したいことがあるんよ」
樹が少し緊張した様子で言った。
「なんじゃ? 改まって」
おじいちゃんが二人を見る。
凪沙も隣で緊張したように手を握っていた。
樹が凪沙を見る。
凪沙が小さく頷く。
「俺たち……結婚しようと思っちょる」
部屋が一瞬、静かになった。
「……結婚?」
碧が驚いた顔をする。
「うん」
樹は頷いた。
「高校の頃からずっと凪沙のことが好きで、大事にしたいと思っちょった。これからも凪沙と一緒にいたい」
凪沙も頷いた。
「私も、樹と一緒にいたい」
竜樹は二人の顔をじっと見ていた。
そして、ゆっくり口を開いた。
「そうか……」
凪沙が竜樹を見る。
「お父さん……」
「二人でちゃんと考えて決めたんやな?」
「うん」
「そうか」
竜樹は少し笑った。
「なら、俺は応援するよ」
「ありがとう、お父さん」
凪沙が嬉しそうに笑う。
樹も竜樹を見る。
「ありがとうございます、竜樹さん」
「おう」
けれど、樹にはもう一つ伝えなければならないことがあった。
「それと……もう一つ、話したいことがあります」
竜樹さんが樹を見る。
「なんや?」
凪沙が自分の口から話した。
「私、病院で診てもらって……双極性障害って診断されたんよ」
碧の表情が変わる。
凪沙は続けた。
「それと、ADHDの特徴もあるって言われた」
これまで、気分が落ち込んで何もできなくなるような日が続いたこと。
反対に、気持ちが高ぶって動きすぎてしまうことがあったこと。
介護の仕事を頑張りすぎて、体調を崩してしまったこと。
そして、病院を何カ所か受診して、三カ所目でようやく診断につながったこと。
「自分でも、まだ全部は分かってないんよ……」
凪沙は俯いた。
「でも、これからちゃんと病院に通って、自分の体調と向き合っていこうと思ってる」
しばらく、誰も何も言わなかった。
やがて、おじいちゃんがゆっくり口を開いた。
「凪沙」
「うん」
「病気になったからって、お前が凪沙じゃなくなるわけじゃないぞ」
凪沙の目に涙が浮かぶ。
「……うん」
「無理せんでいい。困ったときは、ちゃんと周りを頼ればいいんじゃ」
「ありがとう、おじいちゃん」
碧も優しく頷いた。
「凪沙、一人で抱え込まんでいいけんね」
「うん」
そして碧は樹を見る。
「樹も、全部自分一人で背負おうとせんでいいよ」
「はい」
「二人で支え合えばいいんやけん」
「うん」
竜樹も静かに二人を見ていた。
「樹」
「はい、竜樹さん」
「凪沙を大事にしたいっていう気持ちは、前から聞いちょったな」
「はい」
「結婚するなら、これから楽しいことだけじゃなくて、きついこともあるやろう」
「分かってます」
「なら、二人でちゃんと話し合っていけばいい」
「はい」
竜樹は凪沙にも目を向ける。
「凪沙も、一人で抱え込むなよ」
「うん、お父さん」
竜樹は少し笑った。
「困ったときは、俺にも言え」
「……うん」
凪沙の目から涙がこぼれた。
樹がそっと凪沙の手を握る。
凪沙も、その手を握り返した。
おじいちゃんが二人を見ながら、ふっと笑う。
「まあ、二人が一緒になりたいっちゅうなら、じいちゃんは応援するぞ」
「ありがとう、おじいちゃん」
碧も笑った。
「じゃあ、これから結婚のことも少しずつ考えていかんとな」
「うん」
樹も頷く。
「俺、凪沙が安心して暮らせるように頑張ります」
竜樹が樹を見る。
「頑張るのはええけど、無理しすぎるなよ」
「はい、竜樹さん」
凪沙は二人の会話を聞きながら、少しだけ笑った。
病気が分かったこと。
結婚を決めたこと。
どちらも、二人にとって大きな出来事だった。
それでも、ここにいる人たちは変わらず二人の味方だった。
これからは、結婚の準備をしながら、凪沙が安心して生活できるように、みんなで支えていく。
二人の新しい人生が、ゆっくりと始まろうとしていた。

