その年の九月。
凪沙の学校では、野津原の少年自然の家で交流会が行われることになった。
佐賀関の小学校と、野津原の小学校。
どちらも子どもの数が多い学校ではない。
だからこそ、学校同士で交流する機会があった。
凪沙にとって、野津原は知らない場所だった。
海なら分かる。
魚のことも、貝殻のことも、潜ることも。
でも、山や川のことはよく知らない。
少年自然の家に着くと、見慣れない景色が広がっていた。
木々。
山道。
川。
そして、その向こうに広がる空。
「海と全然違う……」
凪沙がそう呟いたときだった。
「海って、毎日見えるの?」
声をかけてきた男の子がいた。
三村樹。
野津原で育った男の子だった。
「うん。家の前が海だから」
「家の前?」
樹は目を丸くする。
「すごいな」
「樹くんは?」
「俺は海、あんまり見たことない」
凪沙は驚いた。
「えっ、海に行ったことないの?」
「ない」
「じゃあ、何して遊ぶの?」
「川とか。自転車で山の中走ったり」
「自転車で?」
「うん。近所だから」
凪沙には、それがとても新鮮だった。
海しか知らない自分。
山と川を知っている樹。
二人は、自分の知らない世界を話した。
凪沙は海の話をした。
樹は川や山の話をした。
そのうち、二人とも笑っていた。
初めて会ったはずなのに、不思議と話しやすかった。
凪沙の学校では、野津原の少年自然の家で交流会が行われることになった。
佐賀関の小学校と、野津原の小学校。
どちらも子どもの数が多い学校ではない。
だからこそ、学校同士で交流する機会があった。
凪沙にとって、野津原は知らない場所だった。
海なら分かる。
魚のことも、貝殻のことも、潜ることも。
でも、山や川のことはよく知らない。
少年自然の家に着くと、見慣れない景色が広がっていた。
木々。
山道。
川。
そして、その向こうに広がる空。
「海と全然違う……」
凪沙がそう呟いたときだった。
「海って、毎日見えるの?」
声をかけてきた男の子がいた。
三村樹。
野津原で育った男の子だった。
「うん。家の前が海だから」
「家の前?」
樹は目を丸くする。
「すごいな」
「樹くんは?」
「俺は海、あんまり見たことない」
凪沙は驚いた。
「えっ、海に行ったことないの?」
「ない」
「じゃあ、何して遊ぶの?」
「川とか。自転車で山の中走ったり」
「自転車で?」
「うん。近所だから」
凪沙には、それがとても新鮮だった。
海しか知らない自分。
山と川を知っている樹。
二人は、自分の知らない世界を話した。
凪沙は海の話をした。
樹は川や山の話をした。
そのうち、二人とも笑っていた。
初めて会ったはずなのに、不思議と話しやすかった。

