電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ

SNS向けの言葉遣いとかが苦手だったり、そもそもSNSが苦手だったりするから、そんなに触れていないんだ。
だから、基本的に歌の投稿の告知とかをすることはない。

それが私の活動スタイルでもありつつあるから、困ってはいないんだけどね。



「千星ー! ご飯よ〜!」



一階の方から、お母さんの大きな声が聞こえた。

そろそろ、夜ご飯の時間だな⋯⋯。

返事をする代わりに、私は急いで食卓へと足を運んだ。

夜ご飯を食べる頃には、録音や編集作業をしていたから、今日学校で起こった出来事なんて、もう頭から離れていた。

そして⋯⋯翌日、また私は地獄を見ることになることを、まだ知らなかった。

☆     ☆     ☆

「千星、やはりお兄ちゃんと学校に行かな___」

「行きません」

「なんでだ!?」



お兄ちゃんは、毎日飽きずに私に一緒に登校しないかと誘ってくる。

でも、私だってもう小学生じゃない。中学生なんだ。
迷子になんてなったりしないし、そんなに心配しなくていいのに⋯⋯。

朝からシスコンを発揮してくる自分の兄に対して、千星は少しだけ呆れていた。



「行ってきます⋯⋯」

「あれ、千星だー! おはよっ」



ドアを開けると、ちょうど家の前を通り過ぎていく玲香とばったり会った。



「あ、玲香⋯⋯おはよう」



玲香とは家が隣同士だから、家を出る時間さえ被ってしまえば、一緒に登校することができる。