電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ

「もし帰る時間が早いということが分かっていれば、お兄ちゃんに言えば一緒に帰れたじゃないか! くそっ⋯⋯妹をこんな時間に一人で歩かせてしまった俺は兄失格だ⋯⋯っ」



⋯⋯こんな風に、重度のシスコンである。

私からしたらちょっと過保護だけど誰よりも私のことを思ってくれている優しいお兄ちゃんだ。



「大丈夫。私、もう中学生、だもん⋯⋯。そんなに、心配しないで、ね⋯⋯?」

「千星ぇ⋯⋯ちゃんと成長しているんだな!!」



あ、抱きつかれちゃった⋯⋯あはは。

知らない人と話すのは苦手だけど、家族や玲香⋯⋯心を許した人たちとはちゃんと目を合わせて話すことができる。

いつか⋯⋯知らない人相手でも、ちゃんと話せるようになりたいな⋯⋯。

抱きついたお兄ちゃんを剥がしてから、私は自分の部屋へ向かった。



「お、重っ⋯⋯」



いつも思っているけど、やっぱりこの部屋のドアは厚いし重いなあ⋯⋯まあ、防音室だから、仕方ないよね。

私のお父さんとお母さんは昔から楽器を演奏することが
趣味で、うちの家を建てるときに絶対に防音室をつけたかったんだって。