電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ

静かそうな感じなのに、こんなに歌がうまいんだ⋯⋯。



「___うっま⋯⋯」



彼女の歌を聞いているうちに、自然とそんな言葉がこぼれてしまった。

その子は僕の声に驚いてしまったのか、肩をビクッと震わせてしまった。

驚かせちゃったかな⋯⋯。



「⋯⋯⋯⋯っ、え⋯⋯?」



それから急にピアノの椅子から立ち上がって、トテトテと音がつきそうなほどかわいらしく走った彼女。



「っ⋯⋯」


___ドサッ。


あれ⋯⋯?

これ、さっきの子が落としていったのかな⋯⋯?

僕の足元には、さっきの子が落としていったであろう生徒手帳が落ちていた。

中を見ても⋯⋯大丈夫、だよね? 落とし主の名前と学年を確かめないと、届けられないし。

中を開くと、そこには〈一年二組 音羽千星〉と書いてあった。

音羽、千星ちゃん⋯⋯か。

確認できたし、もう届けようかな。

そう思って生徒手帳を閉じようとしたときに、また何かが落ちたような音がした。