電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ

「⋯⋯⋯⋯っ、え⋯⋯?」



人⋯⋯人が、いるっ!?

ど、どうしようっ⋯⋯今ここにいるっていうことは、たぶん私の歌を聞かれたよね!? うぅ⋯⋯っ、恥ずかしい⋯⋯っ!

と、とにかくここから逃げようっ⋯⋯!



「っ⋯⋯」



私は自分の出せる全速力で、音楽室を去った。

その後、家に帰るまでの記憶はあまり残っていない。頭が真っ白になって、焦っていた。

見られたからには、しばらくあの場所で過ごすことはできないだろう。

自分の歌声を聞かれてしまった恥ずかしさと共に、しばらく音楽室に行くことができない悲しさもあった。



「ただいまぁ⋯⋯」

「お、帰ったか、千星。今日はいつもよりずいぶんと早く帰ってきたな? 何かあったか?」



家に入ると、お兄ちゃんが出迎えてくれた。
私のお兄ちゃん、音羽流星は星鈴学園の中等部生徒会長を務めている。

いつも学校にいるときはしっかりしていて仕事もよくこなしているし、何をしてもよくできると先生たちから聞いたことがある。

同じ学校に通っている以上、先生たちからお兄ちゃんの成績を聞くことは入学当初からしょっちゅうある。

学校にいるときは確かにしっかりものの生徒会長かもしれない。でも、家では⋯⋯。