電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ

心当たりがなさすぎて、首をかしげることしかできなかった。



「ねえ千星ちゃん⋯⋯僕たちの曲を、歌ってくれない?」

「⋯⋯は?」



僕たちの、曲⋯⋯?

それに、歌ってくれってどういうこと⋯⋯?

確かに昨日私の歌声を紡さんに聞かれてしまったけど、私がねいろとして動画投稿を行っていることは知られていないはず⋯⋯。



「ねいろさん、おねが〜いっ」

「⋯⋯え、あの⋯⋯今、なんて⋯⋯?」



私の耳が正常に働いていれば、今紡さんはねいろと言った。

い、いやいや⋯⋯さすがに、私の聞き間違い、だよねっ⋯⋯?



「うん。ねいろさん、僕たちの曲を、歌ってください」



聞き間違いじゃなかったのっ⋯⋯!?

ど、どうしようっ⋯⋯これじゃあ、千星=ねいろということが紡さんにバレてしまったようなものだよっ⋯⋯!

(※すでにバレています)



「言っておくけど〜⋯⋯もうすでに千星ちゃんの逃げ場なんて、一つも残っていないからね?」

「え⋯⋯?」

「もう〜、さすがに危機感がなさすぎじゃない? 生徒手帳にねいろとしての活動予定表を挟んじゃうなんて」

「⋯⋯!」

そうだ⋯⋯いつでもメモできるようにって、活動予定表と言う名のメモの紙切れを生徒手帳に挟んでいたんだった⋯⋯。