電子の歌姫は今宵も言葉を紡ぐ

普段ペアでやることも隣の人がいないからという理由で回避できていたから、ちょっと感謝していたんだ。



「⋯⋯あ、いた〜」



みんなが集まっている中心の方からかわいらしい、でも少し低めな声が聞こえて、思わず顔を上げてしまった。



「探したよ〜。⋯⋯音羽千星ちゃんっ♪」

「⋯⋯⋯⋯へ?」



まさか彼の口から私の名前が出されるなんて思ってもいなくて、変な声が出てしまった。

集まっていたみんなも一斉に私の方を見ている。

あ⋯⋯みんな、私の方、見てる⋯⋯どうしよう。怖い。誰か、助けて。

変な感情が心の中をグルグルとして、私は意識を失ってしまった。



「千星!!」



意識が途切れる前に聞こえたのは、玲香の心配するような声だった。

☆     ☆     ☆

「⋯⋯せ、⋯⋯千星!!!」



目が覚めると、そこは⋯⋯⋯⋯あれ、ここ⋯⋯どこなんだろう。

わかるのは、隣で玲香がとても大きな声で私の名前を呼んでいるということだけ。



「れい、か⋯⋯? ここ、どこなの⋯⋯?」

「保健室よ。千星、みんなから一斉に視線を向けられて倒れちゃったのよ」

あ⋯⋯そうだ。みんなから急に見られて、怖くなって⋯⋯そのまま倒れちゃったんだっけ。

ゆっくりと記憶を手繰り寄せながら、少しずつ今の自分の状況を推測する。