春の陽気が、少しだけ汗ばむ初夏の風へと変わり始める季節だった
電車の車内は、ガタゴトと心地よいリズムを刻みながら揺れている。
窓の外には、きらきらと太陽の光を反射して輝く青い海が広がっていた
「美優、見て! 海、すっごく綺麗!」
隣に座る乃愛が、窓ガラスにピタリと顔をくっつけるようにして声を弾ませた
セミロングの黒髪がサラリと揺れ、その隙間から覗く横顔は、まるで子供のように無邪気な笑顔を浮かべている
「ちょっと、乃愛、窓に顔を近づけすぎ。ガラスが曇るでしょ」
「だって、久しぶりの海なんだもん。そんなに怒らないでよ、美優」



