落ち込むひまりを連れ出して少し離れた静かなベンチに腰掛けた慧は、彼女の顔を覗き込むようにして、まっすぐな声で言った。



「元気出せ! 俺がいるからさ。ひまりが悲しそうなの見たくねーよ」



「……ドキッ!」



「おい、それ自分で言うのかよ!」



「ナイス突っ込み! 慧のおかげでちょっと元気出た!」



「ちょっと……かよ!」



「えへ!」



「えへ!……じゃねーわ!」



クスッと笑い声をこぼすひまりの表情に、さっきまでの曇りは少しだけ晴れていた。



「あはは、慧って面白いね。なんか、ずっと笑ってられるな」



「あはは……。やっぱり、俺、ひまりが好きだ」



ふとした拍子にこぼれ落ちた、飾らない本音。



あまりに真っ直ぐすぎる告白に、ひまりは目を丸くして顔を真っ赤に染めた。



「え、な、なんで、い、今そんなこと言うの……?」



「思ったから……じゃ、だめか?」



「い、いいよ……。ありがとう」



照れくさそうに視線を逸らすひまりを見つめながら、慧は切なさと決意が入り交じった目をし、静かに付け加えた。



「龍之介と話して、自分の気持ちをちゃんと決めてほしい。……でも、俺はずっとひまりだけってことは、覚えておいて」



「うん……」



慧の揺るぎない優しさと一途な想いが、揺れるひまりの胸の奥深くに、確かな温もりとして染み込んでいくのだった。