朝日がカーテンの隙間から差し込み、フローリングの床を淡く金色に染めていく。



まだ寝ぼけ眼のまま、ふかふかのベッドの上にぽつんとあぐらをかいたり、膝を抱えたりして座る少女たちの姿があった。



パジャマ姿の裾から、無防備に伸びた足がちらりと覗いている。



すみれ「おはよう~!」
奈々波「おはよう!」
環奈「おっはよう!」
優羽梨「旅と言ったら、恋バナナでしょ! ということで、みんな第一印象を明かしましょう!……って言った本人から言うのが常識だよね? 私は颯真くんと王子くんです!」
佐奈「えぇー! そうなの! どっちの方が好きなの?」
優羽梨「まだ分からない……」
美愛「そうだよね。私は翔くんと柊人くん。同じくらい気になる」
ひまり「昨日、翔くんと喋ってたよね~」
すみれ「佐奈ちゃんはどうなの?」
佐奈「私はずっと1人で玲央くんです!」
優羽梨「佐奈ちゃんは一途やね~。環奈ちゃんは?」
環奈「柊人くんと王子くん」
美愛「柊人くんって、モテるんだね~。すみれちゃんはどうなの?」
すみれ「強いて言えば柊人くん。龍之介くんがやっぱり好きだから」
環奈「強いて言えばってなんなの? 私は柊人くんが気になってるって言うのに!」
ひまり「2人ともケンカしないで! 奈々波ちゃんは? どうなの?」
奈々波「第一印象は慧くんと翔くん。昨日まではずっと、慧くんの方が気持ちが大きかったけど、ひまりちゃんとの仲の良さを慧くんに見せつけられちゃったからさっぱり諦めました。今は、翔くんが気になってます」
ひまり「奈々波ちゃん……。もう、大好き! 私、奈々波ちゃんの心友になります! こんな人初めて見た! なーちゃんって呼んでいい? なーちゃん、大好き! 私の彼氏になって!」
優羽梨「ひまりちゃんは興奮しすぎ! そういう、ひまりちゃんはどうなの?」
美愛「私もひまりちゃんが一番気になる!」
環奈「慧くんとどんな感じなの?」
ひまり「私は慧……」
佐奈「慧⁉ 呼び捨て⁉」
奈々波「呼び捨てって、あんたたちどんな仲なの?」
すみれ「気になりすぎる! 教えなさい!」
ひまり「え? 慧は中学校の同級生だったんだ。それで……」
優羽梨「えーーーーー!!!!!! ちゅ、ちゅ、中学の同級生⁉」
環奈「どどどどっどどどど同級生‼⁉‼⁉」
美愛「ま、マジで?」
ひまり「うん。好きになりたいなって思ってる」
奈々波「ひまり、頑張って!」
ひまり「なーちゃん! 頑張るね!」
キャッキャと賑やかな笑い声が部屋中に響き渡り、朝の冷たい空気なんてどこへやら、ベッドの上は一気に熱を帯びた。
美愛「なんかさ、こうして女子だけで話してると、昨日の今日ですごい色々あったなって実感するよね……」
環奈「本当にね。まだ2日目なのに、すでに心が休まる暇がないというか……」
和やかな空気感の中、佐奈がふと、窓の外の青く透き通った海に目をやった。
佐奈「ねえ……楽しむのは今日までかもしれないよ」
その言葉に、部屋の空気が少しだけピリリと引き締まる。
「どういうこと?」と、優羽梨が首をかしげた。
佐奈「だって、昨日スタッフさんが言ってたでしょ。『4泊5日の旅は、甘いだけじゃない』って。……今日から何か、絶対もっと大きなことが起きる気がする」
佐奈のその予感を裏切るように、それぞれのポケットに入れていたスマートフォンが、一斉に鋭い電子音を鳴り響かせた。
「……え?」
ひまりが恐る恐る画面を覗き込み、息を呑む。
朝の光は、あまりにも残酷なまでの嵐の前の静けさに過ぎなかった。
これから始まるのは、13人の関係を根底から揺るがす予測不能の大波乱――。
それぞれの胸に秘めた恋心が試される、運命の2日目が、いま静かに幕を開けた。