通りすがりの俺様




 その日の夜、一鷹はいろいろと考えていた。

 いくら自慢の息子だからって、知り合ったら恋に落ちるだろうとか。
 親バカすぎて、いっそ可愛らしいな。

 恋なんて、そんな簡単なものではないようなのに。

 いや、俺もこの年になってようやく知ったんだが。

 これが恋なのかはよくわからないが、鳴沢のことが気になって仕方がない。

 次になにをやらかすのかと思って――。

 ……ほんとうに恋なのかはちょっと疑わしいな。

 まあ、ともかく、あいつと知り合ってから、今までと違う自分を見る思いだ。

 スマホのメッセージなんて内容がわかればいいと思っていたのに。

 一鷹はベッドに腰掛け、いずるが送ってきたメッセージを見返してみた。

 ……シンプルすぎる。

 俺もだが。

 他人にこのやりとりを見せられたら、ここに愛はない、と言うところだ。

『今日は暇か』
『特にはないです』

『晩ご飯でも一緒にどうだ』

 はーい、とスタンプが来た。

 ちょっと待ってみたが、そこで終わりのようだった。

『何時がいい?』
とこちらから訊いてみる。

『水内さんが仕事が終わったらご連絡ください』
『わかった』

 はーい、とまたスタンプで終わった。

 なんのメッセージもない。

 そして、今、一鷹は迷いながら、いずるに、
『おやすみ』と入れようとしていた。

 文字だけじゃない方がいいのだろうか、こういうときは。

『おやすみ』と打って、最初からスマホに入っているスタンプを押した。

 すぐに既読になる。