通りすがりの俺様

 
 

 居間に入った一鷹はソファに座ると、ぐるりと見回したあとで、
「普通の家だな」
と呟く。

「ああ、いや、悪い意味でじゃないぞ」
と付け足してきた。

 いずるは笑い、
「わかってますよ。
 いろんな人に遺産を狙われそうな家ではないな、と思ったんでしょう?」
と言う。

「まあ、うちは普通の家なんですけど。
 父方の祖父が結構な資産家で。

 とは言っても、うちの父は四男なんですけど。
 あ、なにか呑まれますか?」

 一鷹は昭和味を感じる室内を見回しながら、
「酒かな」
と言う。

 いや、何故。
 真面目な話をしに来たのではなかったのですか?
といずるは思ったが、

「お前と二人きりかと思うと、緊張するから」
と一鷹は可愛らしいことを言ってくる。

「……じゃあ、ちょっと話をしてからなら」
といずるは酒は後にして、一鷹の前にローテーブルを挟んで座った。