通りすがりの俺様

 女子たちが騒ぎはじめる。

「やだっ、藤間(とうま)くんのお兄さんなのっ?」
「どうりでイケメンッ」

「でも、タイプ違わないっ?」

 物静かで爽やかな感じの自転車少年、藤間は、どちらかと言えば、矢端の方が似ている。

 もう一度、こちらに向かい、頭を下げると、藤間は言った。

「いずるさんが付き合ってる方ですね?」

「……ああ」

 いや、違うけど。
 そう誤解されるのは嬉しいので、ここはスルーしよう、と思いながら、一鷹は頷いた。

「先日は、母が失礼致しました」
「母?」

「ああ、いずるさん、話してないんですね。
 あなたに心配をかけないようにでしょうか。

 いずるさんを突き飛ばしたのはうちの母です。
 加減はしたつもりだったようですが、すみません」

「……話、長くなりそうだな。
 何処かでお茶でも――。

 ああ、あの子待たせてていいのか?」

 彼女か? と訊いたが、藤間は振り返りながら、
「いえ。
 近所の子です。

 危ないので帰りはいつも一緒に」
と言う。

「そうか。
 じゃあ、俺も一緒にその子を送ってってやろうか」

 えっ? と周りにいた女子たちが目を見開く。

「私たちも行きますっ」

 何故……。