通りすがりの俺様

 可愛らしい女の子と笑いながら出てきて、近くにある駐輪場に向かっている。

 なんだ、彼女かな?
 心配することなかったか、と思いながら見ていると、塾から出てきた女子二人組がこちらを見て驚き、慌てて中に戻っている。

 なにか話しているらしい女の子たちの甲高い声が聞こえてきた。

 おっと。
 不審な男性がいると言って、通報されちゃ困るな、と思いながら、立ち去ろうとしたとき、ダダダダッと女子が更に増えて外に飛び出してきた。

「ほんとだっ。
 すごいイケメンがいるっ」

「誰かのお兄さんっ!?」
「誰かのお兄さんなんですかっ?」
「誰っ、こんなイケメンの兄がいるのを黙ってたのはっ!」

 そんな罪を犯した奴は打首獄門の刑だっ、という勢いでまくし立てはじめる。

 ……すごいな女子、勢いと行動力が。
 やはり、男よりはたくましい生き物だ。

 生命力が強いと思う。

 一斉にしゃべりはじめる女子たちを眺めながら、こういうのが大きくなると、網代木たちみたいになるんだな、と思っていた。

 すると、こちらに気づいたあの少年が、ぺこりと頭を下げてくる。

「ちょっと待ってて」
と彼女に言い、自転車置き場からやって来た。