通りすがりの俺様

「でも、配布物受け取ってないって言うとか。
 そんなしょうもない嫌がらせとかする人います?」

「私ならするわ!」
と網代木は断言する。

 いっそ潔いな……。

「あんた最近、水内さん、矢端さん、藤屋さんとイケメンとばっかりと口きいてるから、悪目立ちしてるのよ」

 いや、イケメンじゃない人とも話してますよ。
 総務ですからね。

 あと、矢端さん、藤屋さんと口をきく機会が増えたのは、単に二人が水内さんといることが多いからですよ。

 そう網代木にも告げたのだが、
「大変ねえ。
 三人のファンから狙われて。

 モテる女はつらいわね。
 まあ、モテてるわけじゃないけど」
と言って網代木は笑う。

 もちろん、助けてくれる気はないようだ。
 自分が手を下さなくていい、くらいに思っているようだ。

 いずるはトレーを手に立ち上がった。

「さてと。
 片付けるかな……」

 ぼそりと言うと、小野寺たちが怯える。

「どうしたんです?」
と小野寺に訊くと、

「いや……、アンチを丸ごと片づけそうな目をしてたんで」
と言われた。

 いや、トレーを片付けようとしただけですよ、と思いながら、いずるはその場を去った。