通りすがりの俺様

 



 デミグラスか。
 明太子か。

 社食でいずるは迷っていた。

「……たまには冒険して、明太子オムライスにするか」
 そう呟いているうちに、自分の番が来る。

「あっ、すみません。
 デミグラスソースのオムライスで」

「冒険してないじゃん」
と晴菜には笑われたが、

「とっさに出た言葉がきっと本心なんだよ」
と自分を納得させながら、サラダとデザートを選ぶ。

 テーブルは網代木たちと一緒だった。

 網代木に呼ばれたからだ。

「ちょっとめんどくさい奴が席探してるから、あんたたち先に座ってっ」
と言われたのだ。

 私たちよりめんどくさい奴って誰だ……と思いながら、席に着く。

 テーブルの上を見ると、小野寺が明太子のオムライスを食べていた。

 ピンクと白の混ざり合ったソースも、上にちょこんと載った明太子も可愛いらしくていい。

「なに恨みがましい目で見てるのよ……」
と小野寺に言われる。

「いえ、別に。
 私の本心は、デミグラスだ、と告げてましたからね」

「あんたの本心、何者?」
と横から網代木が突っ込んでくる。