通りすがりの俺様




「ただいまー」
といずるが家に帰ると、

「おかえり」
と男の声がして、ギョッとする。

 兄が廊下に出て来た。

 夜、帰ったとき暗いのが嫌だし。
 防犯のためにリビングの電気はつけたままにしているので、いきなりいてもわからないのだ。

 靴は玄関に何足かいつも出ているし。

 ……ほんとうにいたのか、兄。
 危ないところだった、といずるは思う。

 一鷹が送ってきてくれて、中に入れろと外で揉めていたからだ。

「……見たぞ」
とアイスを手に出て来た兄は言う。

 ひっ、といずるは息を呑んだ。

「なんだ、あの男は」

「あらいいじゃないのー。
 いずるには一生虫がつかないんじゃないかと心配してたのよー」

 母親までひょいと顔を出す。

「お母さんっ」

 父親ももちろん、リビングでアイスを食べていた。

 寒いのに……。