通りすがりの俺様

 



「ああっ、最高のお昼休みだったーっ。
 お世話になりましたっ。

 ありがとうございましたっ。
 矢端さんの車に乗るとか、ドキドキでしたーっ。

 あっ、私、昼から急ぐんで、それではっ」

 会社の地下にある駐車場で、晴菜は車を降りるなり、三人に手を振った。

 そのまま、たたたっとエレベーターの方に行ってしまう。

「元気な子だね」
と矢端は笑っていた。

 ちょっと好感触かな。

 でも、晴菜って、
「イケメン、眺めるの最高なんだけど。
 リアルのイケメンは浮気しそうで嫌だなあ。

 仲良く話してたりすると、あんたみたいにやられたりするしー」
とか言ってたからな、といずるは苦笑いする。

「……いろいろ打ち明けてくれて嬉しかったんだけど。
 なんか試されてる気がするなあ」

 矢端は笑っていずるを見ている。

「じゃあ、僕も先行くね」

 気を利かせたように矢端が歩き出すと、いずるは一鷹を振り向いた。

「矢端さんを巻き込んだのは、頼りになるからですか?
 それとも――」

 エレベーターに向かう矢端を腕組みして見ながら、一鷹は言った。

「矢端は味方なら頼りなる。
 味方じゃなかったら、怖い相手だ。

 ハッキリさせとけばいい。
 あいつ、お前みたいなタイプは好みじゃない。

 女の趣味悪いはずなのに、ときどきお前をじっと見てる」

 矢端がエレベーター前に行くと、まだ晴菜がいた。
 晴菜は嬉しそうに矢端と話している。

 矢端はいつも通り、にこやかに応対していた。

 ……矢端さん、女の趣味悪いのか。

 悪女好きとか?
 じゃあ、晴菜は好みじゃないか、
と思いながら、いずるも打ち明ける。

「実は私も矢端さんの言動、ちょっと気になってました」