通りすがりの俺様

「でも、その自転車どうしてるの?
 見たことないんだけど。

 貸金庫に預けてるとか?」

「自転車をか」
と一鷹が言い、

「じいさんちにそのまま置いてる」
と兄が言う。

「藤間くんは私じゃなくて、お兄ちゃんにぶつかって自転車もらった方がよかったんじゃない?」

「あいつ、通学に使ってるだけで、別に自転車好きなわけじゃないだろ」
と言う一鷹に、

 まあ、それはそうなのでしょうが。

 最初のときの印象のせいで、藤間くんイコール自転車になっちゃってるんですよ、といずるは思う。

「さて、というわけで、俺は相続争いを降りたから」

 いや、今の流れだと降りてませんよ……、
と思ういずるに兄は笑顔で言った。

「いずる。
 お前のつづらの中身を教えろ――」