通りすがりの俺様

「お前が俺の方に背を向けていると、ちょっと蹴りたくなるから」

 水内くんと言ったね、と殺気を感じて振り返った一鷹に、兄が身を乗り出し言った。

「あまり可愛がった覚えのない妹だが、可愛がってやってくれ」

 よろしく頼む、という兄に、いずるは、
 なんですか、その人任せ、と思う。

「確かに、年がちょっと離れてたから、一緒に遊ぶって感じじゃなかったけど。
 おにいちゃんがいるだけで、私の学校生活は快適だったよ」

「そうか。
 なんでだか知らないが、それはよかった」

 微妙な年の離れ具合だったから。
 兄が卒業しても、まだ兄を知っている人が学校にいたり、弟妹がいたりして。

 すごいイケメン高身長の兄がいる妹としてもてはやされた。

 怖い女の先輩も私にはなにも言ってこなかった。

 ありがとう、兄。

 ちなみに、会社にも兄の同級生とかいて、彼女らの言動は、ちょっぴり温かい。

「俺もお前を守るぞ」
と一鷹が言うが、

「……水内さんは兄ではないので、近くに来られると被害が増えます」
といずるは訴えた。

 一鷹は、
「何故だ……」
と言っていたが。