通りすがりの俺様

「彼女にお弁当を作ってもらったんだな。
 なるほど」

 重々しく言わないでください。
 どういう意味が含まれて重いのですか、
と思ういずるを一鷹がじっと見る。

 いや、そもそも、私はあなたの彼女ではないのですが。

 あと――。

「水内さんは私の作りしモノを食べる勇気がありますか?」

「すごい言い方だな、弁当だぞ」

 弁当舐めないでください、と威張って、いずるは言った。

「私の手抜きはひどいですよ」

「……自慢になってない。
 わざわざ口に出して言うことでもない……」

「その代わりすごい速さで作りますよ」

「……そうか。
 でも何故だろうな。

 なんの愛情も感じられない手抜きのお弁当だとしても、お前の作ったものなら食べてみたいな」

 おっとっ。
 そこでいきなり、ドキリとするようなことを言ってきますかっ。

「まあ、うちの母親は自分で作らないから。
 それよりはマシだ」

 そうなんですね……。